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遺言書を手書きしなくてもOKに? 公正証書遺言に続き、自筆遺言も電子化検討中
「遺書」は亡くなった後に家族へ想いを伝える私的な手紙ですが、「遺言」は遺言者が生前にした意思表示により、その死後に効力を生じさせるという法律行為のため、民法に定められた方式で遺言を記載した「遺言書」でないと法的に有効となりません(民法960条)。
民法で認められた遺言の方式のうち、証人2名以上の立会いのもとで、公証人が書面を作成する「公正証書遺言」(民法969条)は、令和5(2023)年6月の公証人法や民法等の一部改正により、令和7(2025)年中にデジタル化のスタートが予定されています。
一方、遺言者が全文・日付・氏名を自書し作成する「自筆遺言」(民法968条)も、法務省においてデジタル化に向けて検討が重ねられ、「デジタル遺言」として話題になってきています。
「自筆遺言」は正式には「自筆証書遺言」といい、現行制度では、財産目録を除く全文、日付及び指名を自書し、押印しなければならないとされています。厳格な方式を定めることで、遺言者の真意に基づくものであることを確保し、偽造・変造を防止するというのがその趣旨です。
また、自筆証書遺言書補完制度として、令和2年7月より、遺言者は法務局において、自筆証書遺言書の保管申請が可能(利用は任意)となっています。
しかし、電子化が進んだ現在では、全文自書を求めることは世の中に合わなくなってきています。法務省は、遺言制度の利用促進のためにもデジタル技術を活用して遺言を作成できるようにする民法の改正に向け、法制審議会民法(遺言関係)部会を設置し、令和6年4月16日に第1回会議を開催以降、令和6年10月末までに6回の検討を重ねています。
令和4年6月に閣議決定した政府の方針をふまえた、これまでの遺言制度の見直しの検討に至る経緯としては、国民がデジタル技術を活用し、現行の自筆証書遺言と同程度の信頼性が確保される遺言を簡便に作成できるような新たな方式を設けること、デジタル完結を前提とした法務局における遺言を保管するための仕組み、現行の自筆証書遺言における押印の必要性及び自書を要求する範囲等があげられますが、現行の自筆証書遺言に対する、全文自書の負担が大きいことなどもかねてから指摘されていました。
さらに今年度における主な検討課題としては、遺言者の真意に基づくものであることをどのように担保するか、現行の自筆証書遺言の要件を緩和することが相当か、その他民法で認められている遺言方式である秘密証書遺言、特別の方式の遺言については新たな方式を設けるか、等があります。
このように、政府はより多くの人が簡便に遺言を作成することができるようにするため、可能な限り迅速に遺言制度のデジタル化に取り組んでいるようです。遺言は、遺言者の意思によって相続人間の遺産分割争いを抑制することが可能な制度であり、また、法定相続人がいない場合には公益的事業を行う団体に遺贈を行うことも考えられるなど、遺言制度の重要性は今後ますます増していくと考えられます。「デジタル遺言」の今後の動きに注目したいところです。
*参考 「法制審議会第199回会議配布資料 遺言制度の見直しについて(法務省)」令和6年1月 https://www.moj.go.jp/content/001413271.pdf
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